金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

君がいてもいなくても

いずれにせよ生きていけない、という歌をU2が歌っている。With Or Without Youという曲で。

その曲を書いたのはボーカルのボノさんだったと思う。ボノさんは熱心なクリスチャンで、曲の中で歌われる「君」という言葉は「神様」のことを指しているらしい。具体的にはイエス・キリストのことを指していると思われる。

神様がいてもいなくても生活は辛いものだ、ということが歌われているのだと私は解釈している。私はクリスチャンではないし、神様の存在もあまり熱心には信じていない。でも何故かこの歌で伝えたかった気持ちは分かるような気がする。

私にとって「君」という存在は必ずしも神様ではない。もう会えなくなってしまった人や、別れた人のことが頭に浮かぶ。その人がいてもいなくても生活は続いていく。生きていく自信が全く無いのにも関わらず時間だけが過ぎていく。そのことがたまに辛くなる。本当に何もできないなあ、みたいな感じで。

U2は世界的に有名なバンドだけど、生きていけないとか、そんなことも考えるなんて意外だなあ、と初めてこの曲を聴いたときに思った。With Or Without Youが発表されて数十年後に、国も違っていれば会ったこともない私の耳に届き、ほとんど神様の存在を信じていないような私が共感してしまったという事実が、本当に謎すぎて仕方がない。

必然と呼ぶには綺麗すぎて、偶然と呼ぶには泥臭すぎる。謎というブラックボックスの中身を想像し、不思議だなあと考えるくらいがちょうど良い気がする。

いずれにせよ生きていけない、そのことに変わりはないのである。でもこの曲を聴いている時間は、U2と同じマインドで過ごせているような気がして少し勇気が湧く。ひとりぼっちではないのかもしれない、とちょっとだけ勘違いできる。君がいてもいなくても。