この間いつものように音楽を聴きながら帰っていた。当たり前のように電車が混んでいて嫌だなと思った。そのときにふとBillie EilishのHappier Than Everが流れていることに気付いて、アコースティックギターとビリーさんの歌声が良い感じだった。この曲は中盤で曲調がガラッと変わる。ちょうどその少し前のところだった。前よりは幸せかな、とビリーさんは歌う。ミュートのエレキギターがガリガリと音を立て始めていた。
君とはもう関係ないマジで。君のせいでこの街が嫌いになっちゃったよ。そう歌ったあとに曲調がガラッと変わる。何度も聴いるはずなのに、そのときは何故かめちゃくちゃに刺さってしまった。君と離れることができて本当に良かったよ、だって前より幸せだもん、みたいなことが歌わている。歌詞が英語だからニュアンスしか分からないけど、切りたいのに切れない繋がりってあるよなと思う。
むかし好きだった人と出会った街を思い出せば、エモいというか感慨深い気持ちになる。もちろん切ない気持ちも混在している。自分は故郷の街をあまり好きになれなかった。それは確かに嫌いな人がたくさんいたからだったのかもしれない。嫌いになる対象を街にして、いろんなものから逃げていただけなのかもしれない。どうして今そんなことを考えているのかが自分でもよく分からない。好きな人に好きだと言えなかったからかもしれない。あるいは嫌いな人に嫌いだと言えなかったからかもしれない。
東京の電車はいつも混んでいる。それでも自分は東京の街が好きだ。去年(2023年)よりも前からHappier Than Everは携帯に入っていたはずで、去年も一昨年も何回か聴いていたことがあったはずだけど、ここまで全然刺さってはいなかった。だから今がはぴあざんえばーなのだと思う。今が幸せという話ではなくて、前よりはマシという話だ。