金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

少し走ったほうが良いかも

増員のために配属された新人さんは、どうやら近々退職するとのことだった。優秀そうな人だっただけに残念である。そしてすごく寂しい。

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仕事上あまり関わりがなかったとは言え、少し面識はあったので昼ご飯に誘ってみた。気まずいだろうし、断られると思ったけど意外にも来てくれたので嬉しかった。事前に誘っておいたからか、その人はいつもと違う眼鏡を掛けてお洒落して来てくれた。シンプルに良い人だなと思った。お店は前から行ってみたかったカフェに行くことにした。雰囲気は良かったけど料理はあまり美味しくなかった。

敢えて退職の理由は聞かないようにしていたのだけど、本人の口から「やりたいことが他にできたから辞めるつもりだ」と話があった。全く根拠はないけど嘘をついているのだろうなと感じた。本当の理由は他にあるのだろうなという雰囲気が感じられた。その人の口調は穏やかだったけど、何か憤りのようなものを感じたのだった。

具体的にどの辺りから憤りを感じ取ったのかは自分でもよく分からない。それでもその人は何かに怒っているように感じた。残業が多かったり人間関係が悪かったりしたのかもしれない。ちゃんと詳細を聞いてあげれば良かったのだろうけど、今更遅すぎるなと思った。仕事以外の当たり障りのない会話を続けることしかできなかった。

その人が退職することを聞いたとき、本当はもっとサポートしてあげられたはずだったのに、と後悔した。仕事上の関わりがなかったとは言え、お昼を一緒に食べに行ったり夜は飲みに行ったりなど、業務外で関わろうと思えばできたはずだった。それをサポートと言っていいのかは置いておいて、忙しいフリをして何も行動を起こさなかった自分自信に対して甚だ薄情な奴だなと思う。我ながらいい加減にして欲しい。

私は今でもその人のことを優秀な人だと思っている。でもそれを確信できないまま、もうすぐその人はいなくなる。優秀な人だから去っていくのだろうか。「類は友を呼ぶ」という言葉が本当なのであれば、その人に呼ばれなかった私は優秀ではないのだろう。

こうしてはいられないのかもしれない。私はその人の退職に間違いなく影響を受けている。寂しいという気持ちもそうだが、もっと違う何か大きなものが後ろから迫って来ているような感覚がある。焦燥感に似てるけど比較的ポジティブなもの。少し走ったほうが良いかも、みたいなイメージ。走ればまだ間に合うかもしれないという希望。