金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

かくしごとがしたい

フリーランスのライターさんが書いた「書く仕事がしたい」という本を読んだ。良い文章を書くための方法論とか、すぐに使える作文テクニックとか、そういった技術的な観点の話はあまり書かれてなかった。その代わり、個人で仕事を受けて働くことについての考えかたや向き合いかたについて語られていた。

自分は書くことを仕事にしたいと考えたことはない。厳密に言えば、学生のときに文学を専攻していたため、本や文章に関わりが深い職業に対する憧れみたいなものを持っていた時期があった。でも実際に就職活動をしてみると、その業界でやってみたいことや志望動機などが全く出てこなくて駄目だった。そのときに(少なくともそのときは)本や文章に関わってみたいという願望はただの憧れであって、生業には出来ないと感じたのだった。

その本には「選ばれる人にならないと仕事はできない」みたいなことが書いてあった。さらに「書く仕事をする上で1番大切なことは、書く仕事をすると決めて腹を括ることだ」みたいなことも書いてあった。優しい語り口だったし、文体も口語的で読みやすかったけど、読み終わったあとは何故か怒られたあとのような気持ちになった。もちろん悪い意味ではなく良い意味で。反省したというか、叱られたというか、そういう感じ。

働き方改革という言葉をよく耳にする時期が少し前にあったと思う。今でもたまに耳にする。人それぞれのワークライフバランスがあるよね、みたいな風潮があるなかで、働くことに対するスタンスについて注意される機会は少なくなった。この本を読んで注意された気になっている訳ではないけど、改めて考えていかなくてはいけないと感じた。何を優先するのか、何を優先したいのか、という個人的な落とし所が明確ではない。だから無駄に迷ってばかりいるのだと思う。

自分は腹を括れていなかっただけなのかもしれない。仕事だけでなく何をするにしても。口を開けて餌を待つ雛鳥のように、求めるだけでは成鳥になれない。今この本を読むことができて良かった。