金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

20231222

昨日、仕事関係の忘年会があって普段話さない他の部署の偉い人と話をした。その人と私はたぶん同世代くらいで、あまり盛り上がらなかったけど、遊戯王カードとかポケモンとかの話をした。もちろん仕事の話もした。お互いにやっていることが違うから業務的な話題は少なく、仕事が忙しいとか疲れたとか、そんな感じの雑談をした。

その人は仕事が楽しいと言っていた。忙しいのも楽しいし、暇なときもそれはそれで楽しいのだそうだ。仕事が楽しいと思ったは一度もないですね、みたいなことを返したら少し笑ってもらえた。そのときにふと、私は本当に仕事を楽しいと思ったことがないかもしれない、と考えてしまった。直近で楽しいと思えた仕事はなかったし、ここ数年はガチで消化試合をしてるような感じで、仕事が楽しいという感覚がよく分からなくなっている。

え、でも本当は楽しいと思ってるよね?みたいなことを聞かれたけど、うーんツラいものだと思いますね、と返してしまった。もちろん笑いは起きなかった。

帰り道、終電には間に合ったけど寝過ごしてしまい、変な名前の駅で降りた。こういう機会がないと絶対に降りないような駅だなあ、と思いながらその辺を走っていたタクシーを拾った。そのタクシーは個人で経営してるタクシーで、かれこれ30年ほどタクシー1本で生計を立てている、と運転手さんが話していた。なんかお父さんと話しているような感覚があって、運転手さんの話を聞き込んでしまったし、こちらからも余計な身の内話をしてしまった。

やりたいことはやっておいたほうが良い、と運転手さんに言われた。それは年末だから何某という意味ではなく、生きているのであれば、みたいなニュアンスだったと思う。何か胸に引っ掛かるものを感じた。

自宅周辺に着いたのは深夜2時くらいだった。タクシーから降りると外は当たり前に寒くて、もう少し自宅に近いところまで乗せてもらえば良かったと後悔した。息をするたびに自分の口と鼻から白い蒸気が出てくる。やがて上空へと消えていく様を眺めながら、同世代の偉い人も、タクシーの運転手さんも、今日私と関わりがあったことを明日には忘れてしまうのだろうなと思った。蒸発する息みたいなものだと思うと、なぜか腑に落ちるものがあった。だから別にそれで良いと思った。