金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

カラオケ大会

暇を持て余した午後、なんとなく帰省した実家で「のど自慢」を見た。何が楽しくて知らない人のカラオケを見なくちゃいけないんだと思いつつ、何もやることがなかったので眺めていた。

初めて知ったがテレビで映しているのは本戦らしい。テレビで歌えるのは予選を勝ち抜いた先鋭たちだけらしい。言われて見れば確かにテレビ映えする個性を持った人たちが出場していたように思う。歌唱力があるかどうかは置いておいて。

出場者の皆様は例外なく誰かのために歌っているように見えた。ある人は挑戦することの勇気を。ある人は誰かのことを大切に想う気持ちを。ある人は亡くなった人への感謝を。自分の考えを自分以外の誰かに伝えようとする姿に、こんなはずじゃなかったが胸を打たれてしまった。生放送のためか出場者一人ひとりの背景を掘り下げることはなかったけど、出場者さんが話してくれた少しの情報がそれを想像させ、少しだけ泣きそうになってしまった。

自分は音楽が好きだ。下手くそではあるけど、歌うこと自体も好きだ。でも、誰かのために歌いたい、歌っている姿を見せたい、みたいなことを思ったことは一度もない。だから「のど自慢」に出たいと思ったこともない。歌に限らず、誰かのために自発的な行動を取ったのはいつが最後だろう。思い出せないんだから、そもそも無かったのと同じだな。

最低な人間だとは思わなかったけど、何だか寂しい気持ちにはなった。久々に帰省した実家にて。