金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

隙あらば助けて

若いことは良いことだと僕は思う。明日の僕よりも今日の僕のほうが少し若い。だから今日の僕はちょっと良いはずだ。

年齢だけを考えるのであれば、先に生まれた人のほうが歳を取っているし、後に生まれた人のほうが歳を取っていない。両者が生きている限り、後者の年齢が前者の年齢を上回ることはない。1年でも1か月でも1週間でも、後に生まれた人間のほうが若い。

現時点で僕に出来ることは、僕よりも若い人には出来ないことかもしれない。現時点で僕に出来ないことは、僕よりも年上の人になら出来ることかもしれない。出来ないことが出来るようになる可能性を若さと呼ぶなら、僕よりも若い人のほうがより優れた人間になれるチャンスは多いと思う。

既に僕よりも若くて優れた人間が多く存在していることを考えると、僕に出来ることなんて何もないような気がする。僕より年上の人も、このような不安を抱えているのだろうか。既に超されているという浅い敗北感を。

人生に勝ち負けという概念は無いと僕は信じている。信じてはいるけど、実態としては在るような気がしている。その事実に直面したときに負けた感を感じてしまうから。でも僕は負けたからと言って腐る訳ではない。

僕は自分より若い人間を信じている。新しい時代を作るのは僕ではなく彼らだから。受け入れるのに少し時間が掛かることもあるけど、彼らに負けることは然るべきことだと考えている。僕を踏み台にして欲しいし、邪魔だったらその辺に捨ててもらっても構わない。何かに繋がるのであればそれだけでいいし、繋がらなくてもそれはそれで問題はない。

だからいつか助けて欲しいと思う。彼らにはもっともっと優れた人間になってもらい、将来どん底にいるであろう僕を救い上げて欲しいのだ。底にいる僕は地上に向けて手を伸ばす努力を続けているだろうから、隙あらばその手を掴んでいただき、グイッと持ち上げて地上に逃して欲しい。もちろん可能であればで問題はない。基本は自分でなんとかするから。

若いことは良いことだと思う。僕も底にいる誰かを救い上げることができるのだろうか。可能性はまだ残っているのだろうか。