金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

ベイマックスおじさん

昨日は久々の休日出勤で仕事があった。実作業は協力会社に外注しているので私はそれを見守るだけだった。もちろん進捗管理や控室の手配などの手続きは対応した。本当に退屈な時間だった。

実作業を担当する協力会社の人たちは、いつも同じ担当者 2名で来てくれる。そのため事務処理の面では非常に助かっている。作業面で見てもとても丁寧に対応してくれる彼らには良い印象を持っている。

担当者のうちの1人に背が高く小太りでいつも白いワイシャツを着ているおじさんがいる。白くて大きい図体がベイマックスみたいなので、私はその人のことをベイマックスだと信じ込んでいる。実際に口にしたことは無いが、心の中では彼のことを「ベイマックスおじさん」と呼んでいる。もちろん親しみを込めて、である。

私は彼を見かけるたびに、家で充電するときは四角い箱のようなものに収納されがちなのだろうか?と想像し、いやベイマックスじゃねーわ!と自分でボケて自分でツッコむという遊びを心の中でしている。割と楽しい時間ではある。真剣に取り組んでる彼には申し訳ないが、いつもこっそり嗜ませてもらっている。

この間の作業は予定より早く進捗していたのだった。そのためベイマックスおじさんと少し雑談する時間があった。話題としては当たり障りのない天気の話だった。

この前の台風は大丈夫でしたか、みたいな話をしたときに「いやあその日はね、部下たちには早めに帰るよう指示しましたよ」と彼は言っていた。私は彼に部下がいることを知らなかったので非常に驚いてしまった。さらに掘り下げて聞いてみると、全体で10名程度の組織を管理する役職者であることが分かった。

私はまだ役職に就いたことがなく、1度だけその話をされたときに断った経験がある。自己管理もできないような人間に他人の管理なんかできる訳がない。だから断ったまでである。そもそも向いてないという自覚もある。

私は彼も同じ部類の人間であると思い込んでいた。だからこそ現場仕事に精を出しているのだろうと勘違いしていた。彼の口から「部下」という単語が放たれる日が来るなんて想像もしていなかった。親近感を覚えていた分、彼の存在が一気に遠く感じられた。

よくよく考えてもみれば当然のことではあった。だっておじさんなんだから。客先に出向き、迅速で丁寧な対応を徹底してくださるのだから。

心の中であっても「ベイマックスおじさん」と呼ぶのはこれで最後にしよう。習慣は言葉になって出るらしい。間違えて「ベイおじ」などと呼んでしまったら目も当てられない。