金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

都内某所のラーメン屋さんにて

飲み会終わりに友達とラーメンを食べに行った。お目当てのラーメン屋さんは、飲み会のお店から少し離れたところにあり、歩いて移動しなければならなかった。

5、6分くらいは歩いたと思う。残念なことに、そのあいだ友達と何を話しながら歩いていたのかは全く思い出せない。地図を見ているのにも関わらず、進む方向を間違えた私を見て、呆れたように笑う友達の姿だけは覚えている。本当にポンコツな私だ。

人気のラーメン屋さんだからどうせ並ぶのだろうと覚悟していたが、運良く並ばずに入れたので気分が良かった。豚骨ベースの味噌ラーメンのお店で、私は辛いやつを選び、友達のほうはトッピングがたくさん乗っている賑やかなやつを選んでいた。

私たちはラーメンが出てくるのを楽しみに待っていた。書くまでもないが、そのあいだ友達と何を話して待っていたのかは全く覚えていない。

ラーメンはとても美味しかった。友達が頼んだラーメンには沢山の野菜と焼豚や煮卵などが乗っていて、飲み会では結構飲み食いしていたけど、本当に食べ切れるのだろうかと心配になった。ふとラーメンを受け取った友達の顔を見たところ、意外にもほくほくと嬉しそうな様子だったので笑ってしまった。確かにラーメンの見た目は完璧だった。少年たちの夢がそのラーメンに詰まっているようにも見えた。

辛い、うまい、など反射的に出る短い言葉を挟みながらラーメンを食べていた私に、友達は「友情の証だ」と言って煮卵を半分こして分けてくれた。もう半分の煮卵は友達の器の中にあって、分け与えてくれたことを理解したときに友達との繋がりを感じた。めちゃくちゃに嬉しかった。

私は反射的に「ありがとうございます」と礼を言い、少しだけ余韻に浸ったあと、その煮卵を一口で食べ「うますぎる」と雑な感想を友達に伝えた。本来であればもう少し感謝を伝えるべきだったと反省している。食べる前に写真とか撮っておけば良かった。本当にポンコツな私だ。

その友達とは社会人になってからの繋がりで、なんだかんだで8年以上経つ。お互いに気を使い合っているのは確かだけど、他愛もないことをずっと話していられる。友達とはそういうものであることを近頃は忘れてしまっていた。

その友達にはまた会いたいと思う。とは言え、次回も失礼が無いようにだけはしたい。縁はすぐに切れてしまうものだ。大切にしていきたい。