金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

家族参観にて

家族参観というのだろうか。ある人の家族が職場を訪問する全社的なイベントがこの前あったのだった。その日、私は出社しており、家族参観があることは分かっていた。もし誰かに絡まれたとしたら、適当に相手してお茶を濁しておけば問題は無いだろうと高を括っていた。

小さな子供たちや仲睦まじそうな他部署の夫婦が仕事場に入ってきたとき、私は協力会社の人たちとリモート会議をしていた。割と大事な会議だったのだが、外野ではしゃぎ回る子供たちの声が気になって集中できなかった。大人の声と子供の声はそれぞれ周波数が違うのだろうか。子供たちの声はイヤホンをすり抜けて私の耳にダイレクトに響いてきた。聞かなきゃいけないのは会議のほうなのに、外野の子供たちの声しか耳に入ってこなかった。頭が一切回らなくなり、ぐるぐると目が回るような気分だった。

ふと周囲を見渡すと、すごく楽しそうな家族たちの姿が伺えて、今置かれている私の状況とは真逆過ぎてパニックになった。今すぐ誰かに助けて欲しかった。

家族参観の時間は1時間程度だったと思う。私はそのあいだリモート会議を繋いでいたので、誰かに絡まれることは無かったけど、もう2度と家族参観は御免だと思った。

リモート会議が終わったあと、賑わう同僚とその家族たちを横目に早めの休憩に入ることにした。仕事場から離れて1人になったとき、限界過ぎて少し泣いてしまったのだった。そのまま仕事場に居続けたら、間違いなく私は同僚たちに泣いている姿を見られていただろう。我ながら判断が早くて良かったと思う。

パニックになると人は涙が出るんだなって分かった。このような経験は今までなかったから自分自身驚いている。情緒が不安定すぎるだろう、とも思う。

家族参観て本当に必要なのかな。インターンなら分かるけど、まだ小さい子供たちを職場に連れてきて何を感じさせたいだろう。職場で号泣してる大人を子供たちに見せつけてしまう可能性あったけど、そんな家族参観は全社的なイベントとして成立するのだろうか。今回は事なきを得て本当に良かったけど。次はもう勘弁して欲しい。