金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

僕とお昼を

古谷実さんの漫画が好きだ。彼の代表作に「行け!稲中卓球部」があるが、稲中以外にも面白い作品がたくさんある。稲中の次に出た「僕といっしょ」も最高だし、その次の「グリーンヒル」も大好き。ギャグ漫画だから基本的には笑えるんだけど、妙なリアリティがあって少し悲しくなったり考えさせられたりする。この独特の世界観が本当に大好き。

僕といっしょ」と「グリーンヒル」のダイジェスト版が1冊にまとめられた「僕とお昼を」という単行本がある。私は両作とも全巻読んでいるからダイジェスト版だと少し物足りなさを感じる。なので、その単行本自体はあまり好きではないんだけど「僕とお昼を」というタイトルがすごく好きで、何故か印象に残っている。

全く関係ないけど「僕とお昼を」という言葉を言えていたなら、今とは違う未来があったかもしれない、と思う日がある。あのときにその一言を言えていればなって。それは古谷実さんの漫画が好きだとか、単行本の内容がどうだとか、そのような類いの話ではなくて、単純にお昼ご飯にすら誘えない私自身の不器用さに起因する個人的な思いである。

私は踊ることができない。だから「僕とワルツを」とは言えない。私はテーブルマナーがよく分からない。だから「僕とディナーを」とは言えない。私は好きな人と食べるランチくらい少し贅沢しても良いだろうと考えている。でも「僕とお昼を」とは言えない。そうやってグダグダしている間に、その人は何処かへ行ってしまい、やがて見失ってしまう。

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眼中に無いことはきっとそうなんだと思う。話しかけてすらいないから、無視されるされないの土俵に立っていない。何もしなくても思いが伝われば良いのにと思う。相手がエスパーじゃない限り、あり得ないことは分かっている。

この先、変われるのだろうか。もう少し鈍感になりたい。