金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

20241011

明日からの3連休は実家で過ごすことにした。特に用事がある訳では無いから単純にダラダラするだけで終わりそうだ。料理をしたり、散歩したり、猫と遊んだりしたい。仕事が終わってから移動するため実家に着くのは遅い時間になってしまう。そのことが少しだけ申し訳ない。先月は3連休が2回あったから、本当はそのどちらかで帰省したかったのだった。だけど時間と精神的な余裕が無かったので諦めてしまった。気づけばもう10月になっていて、もうすぐ2024年も終わりかけているみたいだった。今年はどんな1年だっただろうか、新しい出会いはどのくらいあっただろうか、今年の残りの2ヶ月でどのくらいの人に会いに行けるだろうか。新宿に向かう電車の中、真っ暗になった窓の外を眺めながらそのようなことを考えていた。

新幹線に乗るときはいつも急いでいる。急いでいるというか、急がされているような気がする。自宅にあるCDラックに入りきらないCDたちを詰め込んだリュックが重たい。荷物が増えるのが嫌だったらけど、実家に何かお土産でも買っていこうかなと思った。新幹線の改札を通って、駅構内にあったコンビニを眺めていると東京ばな奈が売られていて、普通のやつとコーヒー牛乳味の2つが並んでいた。昔、兄が雪印のコーヒー牛乳をよく飲んでいたことを思い出して懐かしい気持ちになった。コーヒー牛乳味の東京ばな奈は「東京ばな奈ラッコ」というらしい。こちらを買うことにした。

ルフレジで会計をしているとき、お土産がリュックに入りそうにないことに気付いた。どうしようかなと思っていたら、コンビニ店員さんが「無料なので良かったらどうぞ」と紙袋をくれた。私はかろうじて「ありがとうございます」と返したものの、店員さんの目も顔も見ることができなかった。いくつになっても人と目を合わせるのが恥ずかしい自分をダメなヤツだなあと思った。

今日が金曜日だからなのか、明日から3連休だからなのか、新幹線は満席のようだった。前の席にも後ろの席にも人が座っている。隣の席にも斜め前の席にも人が座っている。同じ新幹線に乗り合わせている人はたくさんいるけれど、私が知っている人は誰もいないし、私を知っている人もいないと思う。これから彼らは何処に行くのだろうか。明日からは何をするのだろうか。今なにを考えているのだろうか。彼らのことは何も分からないけど、なんとなく目的地までの彼らの安全を祈りたくなった。コンビニ店員さんが私に紙袋をくれたように、私も誰かに優しくしたいなと思った。