金曜の夜は別の人になりたい

人生は割とへっちゃら

The Beatles「The Beatles 1」との出会い。

子供の頃、休日になると両親はよくドライブに連れていってくれた。夏になれば海に連れていってくれたし、冬になれば雪まつりにも連れていってくれた。ドライブ中の車内にはいつもラジオが流れていて、家族との他愛もない話も好きだったけど、ラジオから流れてくる音楽を聴くのがもっと好きだった。

The Beatles 1」が発売されたのは、確か小学校の頃だったと思う。当時はモーニング娘。が流行っていて、ラジオからもよく流れていたし、自分も彼女たちの曲が流れてくるのを楽しみにしていた。

ある日、いつものように家族でドライブしたあとの帰り道、天気が悪くなって渋滞に巻き込まれたことがあった。交通情報を知りたかった父親が FM から AM にチャンネルを切り替えたんだと思う。もしかしたら AM から FM だったかもしれないけど、とにかく急にラジオの雰囲気がガラッと変わったことを覚えている。でも聞こえてきたのは交通情報ではなくて、リスナーからのリクエストに応えて曲を流すタイプのよくあるラジオ番組だった。誰がどういう理由でリクエストしたのかは全く記憶に無いけど、とにかく唐突に「Let It Be」は流れてきたのだ。

イントロのピアノの音。あれを初めて聞いたとき、僕の中に水滴が落ちて円状に何かが広がっていくような感覚があった。メロディが始まったときには、脊髄を雷に打たれたような衝撃があって、一瞬だけ呼吸のしかたを忘れてしまうほどだった。歌詞は全く聞き取れなかったけど、この歌をすぐに歌いたい、という気持ちで溢れて、聞こえたまま「れりぴぃーれりぴぃー」と歌っていた。その日のうちに「れりぴぃーの歌が欲しい」と両親にねだって CD を買ってもらった。それが「The Beatles 1」だった。

僕とビートルズとの出会いはこんな感じ。